11th Gadget -11番目の機械-



A…Ga…u

人の姿をした兵器が、最後に何かをつぶやいたように聞こえた 
それがなんと言うコトバだったのか、よくわからない 
それが呪いの言葉だったのか、感謝の言葉だったのかも 
魂の言葉だったのか、機械の言葉だったのかも… 
私にはもう、知る事は出来ない 
知る必要もない
私には選ぶ事は出来ないのだから
すべて呑み込み
糧とし
自らの軛に刻むのだから

今まで邪悪な存在だった道具は
腕の中で動かなくなる
力を失ってただのガラクタになり
つまらないわずかな灰になって
ふいに喪失する 

泣き叫びたいほどの空虚な手触りが
ふたたび思い知らせてくれる
カノジョハモウイナイ ということ

生きていない生き物を
抱きしめながら屠る 
それが神に与えられたやりかたであることを嫌悪しながら
それでも私は壊し続ける 
これから先もずっと 
それだけが
私にゆるされた償いのやりかた

「よかった!怪我、ようやくなおりましたね」
「ほんと、クロちゃんの能力ってスゲーさ」
戦いを終えたガキどもは、私にむけて屈託なく笑ってくれる
ほんの少しだけ救われながら
私は何もいわず、血に染まった口元を
再生したばかりの右手で

グイと

ぬぐった



<ende>2009.2.11