Amrita -アムリタ 甘露-

クロちゃんが笑ってる。
いつものように、ちょっと困りながら嬉しそうに。
ファインダーとの乱戦で全身打ち身、傷だらけ。
とどめにユウにぶっとばされて
なのに、幸せそうに笑ってる。

うっわ、でっかいたんこぶさ?
痛くねえのクロちゃん?

痛くないである
だって、これは訓練であるから

    そっか。
    クロちゃんにとってそれは、ぜんぜん違うものなんだ
    憎まれて撃たれる小さな石の痛みとは。

それよりうんと汗をかいて
終わったあとで、みんなで回し飲みするお水がとっても美味いである

うええええ?
あのヤカンのぬるいのさ?

そうそう あのヤカンのぬるいの、である。
だからラビ
もう一手、お相手願うである

首筋に汗をひからせたクロちゃんは、
白いきれいな腕をゆっくりとまわし、
習いたての拳法の、
一番最初の構えで、俺の前にたった。

どうしていいかわからないほど、幸せそうにほころんで…

-ende- 2009.5.15