罪の色をした 
どす黒い血凝りとともに 腑(はらわた)が鳩尾よりあふれるのを右手で押さえ込むと、早くも私の呪われた体はお互いを喰いあうように結び合い、ぐちゃぐちゃと汚れた音をたてて、被弾して穿がち削がれた肉を埋めて修復し始める。
腹の底から舌の根にまで溢れた血涎は、潰された胆汁をふくんで苦々しく、獲物たちのせっかくの甘い体液を不愉快にしていく。
私の躯には激痛だけが残され、それを解く間もあたえられず全霊に更なる令が叩き込まれる。
血をすすり、塵となせ  と。
夥しい数のアクマに対峙しながら私は大いに笑う。
歓喜に吠え、ゲラゲラと声をあげて
殺戮に染まった自らを殺しにいく。
強いられる事の絶望的な歓びから逃れるすべもなく。

 

 

 

神(イノセンス)よ。
くれてやるとも。
私の肉も血も骨も。
皮膚も五感もなにもかも。
人生と当たり前の営みと。
魂も、痛みも、命も。
すべて
皆お前にくれてやる。
使役とならぬ朽ち狗の腐皮となるまで
我が身をしゃぶり、砕き、貪るがいい。

 

 

だが、
すべてを掠奪されても
心 だけは
このこころだけはやらん。さあ
地団駄を踏み、
打てぬ刻印に歯噛みして焦がれよ。

 

 

これだけが わたしのもの

私の

 

 

 

 …否

 

 

 

エリアーデの
真なる主の…

-ENDE-  -Un sacrificio -贄狗 ニエク-2009.4.11