「ミランダ、クロちゃんしらねえ?明日のことで話があんだけど、見当たらないさ」
「クロウリーさん?食堂にいらっしゃらなかったかしら?さっき見かけたときは珍しく神田くんと話してたみたいだけど」
「あっれー?行き違いかなあ、食堂には居なかったさ。…まいいか、部屋に行ってみるさ。さんきゅ」
上機嫌で通路を抜け、クロウリーの部屋まできたラビは、ノックしようとしたが、中の声が耳に入ってふと手をとめた。

 

 

 Soba Dogma  ー義ー 

 

「そ、そんな…いきなり無理である神田」
「…ヤれよ。みんなの前で恥をかきたくないんだろ?ためらってる場合か」
「し、しかたないである。んんっ…」
「ちっ…。最初からおもいっきり口にいれるんじゃない。興がさめる…。やりなおせ」
「う、でも」
「言う通りにするっていったよな。ホラ、ヤレって」
「う、わかったである……ん…」 
「そうだ…。まずはほんの少しだけ…先端を口に含むぐらいにするんだ」
「このぐらい?…ん」
「そう
…絶対に噛むなよ…そんなことしたらぶっ殺す。
ああ…いい感じだ…それから軽く吸い込むような感じで少し強めろ。
ばか!強く吸いすぎるな。息が詰まるぞ。」
「んはっ…むずかしいである」
「すぐになれる。ホラ…やすんでいいって、誰がいった。さっさとつづけろ」
「く、こほこほ」
「吸えばいいってもんじゃない。舌を使ってそっと含むんだ。
…そうそう。含んだところに舌を少しだけ当てて吸ってみろ。
ゆっくり、舌をもっと上手に動して、それから喉の奥に…」
「く、くるしっ…く、舌を使うのが難しくて…」」
「大丈夫だって、とめるなよ。そう、いいぞ。すぐに上手になる…。そうそう。
ああ、いいぜ。……なれるのが早いな」
「ん。うん。…だいぶ楽になって来たである」
「俺の言った通りだろう?そいつの…味はどうだ?」
「ん。不思議な味だけど……おいし…いである」
「じゃ、今度はこいつを試してみるか」
「え?そんなもの…いれたら」
「大丈夫だ。俺に任せろ。これを使ったらヤミツキだぜ。こうして…ほんの少し」
「そ、そんなに?…っく。かは」
「おっと、刺激が強過ぎたか、すまん。我慢しろ。すぐになれる」 

 

 

耐えきれなくなったラビは乱暴にドアをあけた。
「クロちゃん!!!何されてるんさ!!!!!今俺が助け!」
テーブルを囲んだ神田とクロウリーが、ワサビをもつ手を止めてラビを見た。
「いきなりなんだバカうさぎ!」
「どうしたであるか。ラビ?」
「いや…あの…
クロちゃん……唇に海苔がついてるさ?」 

 

 

「ジェリーさん!今夜は僕、蕎麦をお願いします!
ええ?だって、明日は大晦日でしょ?
年越しわんこそば大食い大会、今年は賞金付きらしいんですよ!練習しなきゃ。
え…?」
クロウリーは、蕎麦を出前して部屋にもちこんでるんですか?
あーまたむせてここで吹いたらみんなの迷惑ですもんね。
ええ?神田に蕎麦をすする練習を見てもらってる?
うわ…大変だ。思わぬ強敵が現れましたね。でも僕も負けませんよ!
じゃあ、ジェリーさん、蕎麦あるだけ全部!!」

<Sorry!>202008.12.30