声が響くがはやいか、アクマの給仕が二人の前に高そうな食器を運んでくる。 双子は、再び青ざめた。 大きめのカップにはなみなみとミルクティが湯気をたてて注がれており、これにもスコーンとイチゴのジャムとこってりしたクロテッドクリームが死ぬほど添えられていた。 「なんか…他のドリンクないんすか?」 「ありますヨ」 大きなガラスピッチャーにカラフルな飲み物がみたされてテーブルを滑ってくる。 ミルク、ソイミルク、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、人参ジュース、トマ
トマトジュース? 双子の脳裏に、声が響いた。
「…トマトジュースとさしてかわらん…」
デビットとジャスデロは反射的に同じピッチャーに手を伸ばした。 ティキが、トーストをもつ手をとめて、ちょっと面白そうにそれを眺める。 「っへえ?なにお前ら健康志向に鞍替え?」 「うっせーな。ちょっと再確認しておきたいことあんだよ」 赤い液体をお互いのグラスに注ぐ。 とろりとした赤いソレを一気に飲み干す。 なれた、味。 好きかどうかはともかく、おいしいと思える、普通の液体。 二人は複雑な表情で顔を見合わせた。 「デビットお、やっぱコレとアレは違うよね」 「ああ、やっぱありえねえ。あいつマジで…」 ヒトじゃない… コレのどこがアクマのオイルと同じなんだよ けれども、二人はわかっている。 今後、この赤い液体を見るたびに それどころか、この色を見るたびに、 嫌でもあいつを思い出すことになるということ… 「ねえシャチョー?俺らと殺りあったエクソシスト…」 「なんデス?」 「…んや、いいっす」 生きていようが死んでいようが関係ない。
「なんの再確認だって?」 ティキが再び尋ねる。
くだらないことだよ、ヒヒ。 イカレてるヤツのことさ。 デビットとジャスデロは、乱暴にグラスをおいた。
トマトジュースのようにアクマの血を貪る吸血鬼? まったくイカれてる 嫌でも思い出す? 上等だ。 いや、むしろ絶対にわすれてやらない 次に出会ったら
<Ende>2008.12.10 |