いや、なんつうかその、今日はなんだか春っぽいっしょ?

クロちゃんが長椅子で暢気にうたたねしているのがなんとなく居心地良さそうでさ。

だから隣にすわって本をよんでいたらだんだんクロちゃんの白い髪の毛がうつむいて、そのうち躯がかたむいて俺に体重がかかってきて…躯は動かせないし、腕もあげられないし本も読めねえしさ。

でもクロちゃんは気持ち良さそうで、なんか楽しい夢をみているのかうっすら微笑んでいるようにも見えて、いや、それはじゃあどんな夢か、俺だってわかるけど、それをじゃましたくなくて…

それで、しょうがねえ。本を閉じて空を見上げながらじいっとここにこうしてるんさ。

ええっと、かれこれ半時ばかり…かな?




Vernalequinox 春陽を分けながら




なるほどそれじゃあ仕方が無いです。

クロウリーを起こしちゃ可哀想ですから。そのままそっとしておいてあげてください。きっと任務から帰ったばかりでくたびれているんですよ。

うん。ならこうしましょう、僕は反対側に座って報告書を書く事にしますからはんぶんこにしましょう。

椅子をですよ。よっしょ、と。

きょうはいい天気ですね。もう春だなあ。

………あれ?今日のクロウリー、なんだか出会ったときのようないい香りがしませんか。あまったるくて懐かしいというか。なんというか。最近あまり意識した事はなかったですけど。

もしかしたらクロウリーが懐かしい夢とか見ていたりして。そのせいかもしれませんね?

何となく、そんな気がしませんか?

…なんだ、ラビも寝ちゃったんですか。まったく暢気なんだから。

でもこれ、たしかに眠くなる香りですよね。

なんだか僕も、眠く…

ちょっとだけ




アレン、ラビ!どうしたであるか?

ああ、なあんだ。ねむっているのであるか。暢気そうな顔で…

二人とも私に寄りかかって、気持ち良さそうである。こうしていると、二人ともまだまだ子供のようであるな。

やれやれ、しかたがない、このまましばらく座っているしかないである。

ああ

それにしても

本当にきょうはいい天気である。

もう

すっかり

春であるな。



 -ende-2009.0707